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2013年6月 5日 (水)

耳なし芳一の教訓

「耳なし芳一」ってご存知ですよね。平家の落人の亡霊の前で、夜な夜な琵琶の弾き語りをする芳一。このままでは取り殺されると心配した和尚は、芳一の身体中に経文を書いた。しかしうかつにも、和尚は芳一の耳にだけは経文を書き忘れたのです。平家の亡霊には芳一の耳しか見えない。結局亡霊たちは、その唯一見えている耳だけを引きちぎって去っていったという、あの有名な物語。
 
私ね、この話で、どうしても連想してしまうものがあるんです。それは、日焼け止めクリーム。クリームを塗ったところだけは紫外線を防ぐことができるけど、塗ってない部分は、しっかり日焼けのターゲットになってしまう。日焼け止めクリームって、芳一の身体に書かれた経文みたいなものじゃないですか。
 
何年か前ですが、夏の海に遊びに行った時のこと。落語家があまり真っ黒な顔で高座に上がるのもヒンシュクでしょ。ちょうど独演会前だったこともあって、入念に紫外線対策をしたつもりだったのです。でも翌日鏡を見たら、耳だけが真っ赤っ赤。「しまった、耳は塗り忘れた」、そう思ったとたん、耳なし芳一を思い出したんです、「おんなじじゃん」って。
 
それ以来、私にとって耳なし芳一の物語は、“夏の海では耳に日焼け止めクリームを塗り忘れるなよ”、という教訓に変わったのです。ちなみに、私がそのひどい目にあった海岸というのは、ナンと「壇ノ浦」・・・これは嘘ですけど。
 
日焼けが健康に良いかどうかについては賛否両論あります。まあ何でも過ぎるということは良くなくて、過剰な紫外線を浴びることは、皮膚がんの明らかなリスクになります。しかし適度であれば、体内でビタミンDが作られます。ビタミンDは、小腸でのカルシウム吸収を良くして骨粗鬆症を予防してくれるんですね。
 
でも、それだけじゃないんです。これは今年、エジンバラ大学(イギリス)が発表したデータなんですが、紫外線を浴びることで血圧が下がるんです。紫外線を浴びると、血管内に血管拡張作用のある物質が放出され、そのために血圧が下がるんだそうです。
動脈は、縮む(収縮する)と血圧は上がり、反対に広がる(拡張する)と、血圧は下がります。降圧剤といって血圧を下げる薬の多くは、血管を拡張させることで血圧を下げているんです。
高血圧も心配、骨粗鬆症も心配、そんな方は多いものです。今年の夏は、少しくらいは紫外線を浴びてみたらどうでしょう。でも、シミになるのは嫌、ごもっともです。一番良いのは、直射日光に当たらないこと。木陰で数十分涼んでいるだけで、十分な効果が得られます。
 
でもそんな時に、日焼け止めクリームをしっかり塗っていたら効果は期待できない。じゃあどうしたらいいのかって、決まってるじゃないですか、耳だけ塗らないでおくんですよ。え、もっと嫌? そりゃそうでしょうね。
なにも耳なし芳一になることはないけど、「日焼けは絶対に嫌!」なんて言わないで、紫外線で血圧が下がるなんて耳寄りな話には、ぜひ耳を傾けてみようじゃありませんか。

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