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2013年9月12日 (木)

どうぞ、お大事に

 随分前のこと、まだ現役で医者をやっていた時代(今でも現役の医者には違いないのですが)、地方の病院に数ヶ月間赴任したことがあります。
 初めての病院でいきなり外来を引き継ぐということは、とても大変なことで、来る患者来る患者、全員が初めて会う人。でも「初めてだからよく分かりません」というわけにはいかないし、慣れない環境でそんな外来をこなすとなると、いやあ、相当ストレスのたまる仕事でした。
 
 ただ、自分ではさほどストレスだなんて感じてなかったのですが、時は3月、しかも私は花粉症。明らかに花粉症が悪化して、いざ外来が始まると同時に、「ハックション、グズグズ」と始まるのです。そして、外来が終わって、「さあ、お昼ご飯だあ~」と思ったとたんに、グズグズはピタリと治るのでした。
 やはり外来によるストレスが悪化要因であることは明白です。でも自分ではどうにもならない、相変わらずの鼻炎症状で、一人患者を診察する間に、三回も鼻をかまなければならないほど酷いもの。そんな頃、外来で患者さんが帰り際、私に向かって「どうぞ、お大事に」だって。患者に言われちゃ、世話ないよね。
 
 誰にでも、多かれ少なかれストレスはあるものです。ごく日常的で、まあ別に耐えられないほどじゃないけれど・・・そんな小さなストレス、数え上げたらきりがないほど出てきそうです。
 まあ、その程度のストレスを苦にして病院に行く人はいないでしょうけど、「そこそこ身体に悪いかもなあ」くらいは誰でも思ってる。でもね、「そこそこ悪い」どころじゃなくて、「死亡率が上がる」と聞いたら、ちょっと話は深刻ですよ。    
 
 英国でのことですが、診療の対象にならないような「小さな心理的ストレス」をどのくらい感じているかをアンケート調査しました。そして、ストレスの程度によって、「なし」「軽度」「中等度」「重度」の4つのグループに分けて、いろいろ比較したんですね。
 
 どんな結果になったと思います?
 
 昔からストレスは心筋梗塞や脳卒中の危険因子だということは知られていますよね。そこで、各グループ別に心筋梗塞や脳卒中の発症率を調べてみると、ストレスが多いグループほど発症率が高かったという結果でした。
 「そりゃそうだろうね」なんて落ち着いてる場合じゃありませんよ。今度は総死亡率を調べてみると、もっともストレスのない「なし」のグループと比べたところ、「軽度」では1.20倍、「中等度」では1.43倍、「重度」ではなんと、1.94倍だったんです。
 
 つまりですね、普段は無視しがちな日常的な小さなストレスであっても、それが多ければ多いほど病気になる確率も高くなり、そして死亡率さえも上がることが分かったんですよ。
 
 こうなったら、ストレスをストレスとも感じない、そんな強靭な心を持つことが大切です。でもさ、心を鍛えるって大変だよなあ。え? 強靭な心じゃなくて、「鈍感な心」に変える方がてっとり早いって?
 良いこと言うなあ。じゃあそうしよう、そうか、鈍感になればいいんだ。え、「お前はもともと鈍感だ」って、誰ですか、そういうこと言うの。ああ、また、花粉症が・・・。

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