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2014年8月 4日 (月)

存在感のない存在

まだ学生だったころ、先輩がある定食屋に連れて行ってくれました。「ここは安くて美味いんだよ」と案内しつつも、「だけどな、ここのパセリは絶対に食べたちゃダメだぞ」と言う。私たち後輩連中はそれを聞いて「どうしてですか」と尋ねると、なんでも客の食べ残したパセリを使い回しして、他の客に出しているんだそうです。「だけどな、パセリさえ食べなければ平気だから、まあ安心しろ」と、そう言いながら豪快にパクパク食べてました。
そんな先輩を見ながら私たちは、「だけどなあ、そんなことしてんじゃ、他のものだって分かんないよなあ」「そうそう、このトマトだって、誰のトマトだったか分かったもんじゃないぜ」「そう言えば、ポテトサラダだって残す人いるじゃん。あんなの混ぜちゃったら全然分かんないよな」なんてワイワイ言いながら同じテーブルで食べてたのですが、さあ帰る時にふと先輩のお皿を見たら、パセリだけじゃなくて、しっかりトマトもポテトサラダも残っていました。
後から皆で大笑い。だって、私たちはパセリから何から全て完食していていたのですから。一見豪快に見えながらも、じつは神経質なところを見せる先輩が、どこか可愛く見えたものです。
 
でもどうして、パセリって残されるんでしょう。単なる添え物、色合いのアクセントで付いているだけ、という感じがして存在感がないんでしょうね。しかしこんなパセリにも、自らの存在をアピールするチャンスが与えられました。パセリを食べると、コレステロール値が下がることが発見されたのです。
以前より野菜を食べるとコレステロール値が下がることは知られていました。コレステロールは小腸で吸収されるのですが、野菜の食物繊維がコレステロールの吸収を阻害するからなのです。しかし、それとはまた別の理由で、ある種の野菜がコレステロールの吸収を妨げることが発見されたのです。
 
コレステロールが小腸から吸収されるときには、コレステロールを運ぶための物質が必要なんですね。この物質を、「コレステロール吸収トランスポーター」というのですが、これの働きを邪魔してやれば、コレステロールが十分に吸収されない、結果として血中のコレステロール値を下げることができるというわけです。
これはすでに薬(小腸コレステロールトランスポーター阻害剤)として実用化されているのですが、ある種のポリフェノールにも、この薬と同じ作用があって、コレステロール値を下げることが分かりました。さあ、この嬉しいポリフェノールは、どんな物に含まれているかというと、それがパセリなんですね。パセリ以外にも、タマネギ、シソ、ピーマン、セロリ、ブロッコリーなんかにも含まれ、果物ではリンゴに豊富です。
 
やっぱりパセリは残さずに食べようじゃありませんか。でもパセリって、主役の脇にいるのに注目されることなく、いつも無視される、そんな存在です。それだけにちょっと、ほろ苦い味がするんでしょうかね。パセリ、頑張れ!

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