« 食べたい時に食べたいものが | トップページ | ずっと歯が痛いんです »

2012年10月25日 (木)

噺家は 世情のアラで 飯を食い

 テレビで山中教授のノーベル賞受賞の報道を見ているうちに、決心したことがありました。
 「僕もいつかきっと、ノーベル賞を取る」って、それじゃ子供か学生さんだ。どう間違っても、私にそれはないよね。

 何を思ったかというと、iPS細胞で健康落語を作れないか、ということ。 
 だって、こんなこと、つまり日本人がノーベル医学生理学賞を取るなんてことは、そう滅多にあることじゃない。これほどの歴史的な大事件が起きたというのに、何もしない手はないじゃないの、と思ったわけです。

 iPS細胞は、すでに日本人の誰もが知っている言葉になりました。内容はよくは分かんないけど、言葉はみんな知っている。しかも特別級のトピックス。これを、次回の独演会で落語にしてかけたら、お客様はきっと喜んでくれるに違いない。

 「よしやってみよう」はいいけど、その時点で独演会まで、あと2週間になっていました。

  さあそれから、どんな落語にするか考えた。2週間という時間が長いのか短いのか、新作を作るのに十分なのか不十分なのか、そんな議論、いや、そんな心配はとりあえず無意味なのです。
 2週間後にやる、ということを現実にするかどうか、それはもう私のヤケクソの集中力にかかっているわけで、「ようし、作るぞお」と、私は鬼のような顔をして、ベッドで寝転んでいました。
 血走る目で天井を見上げながら、頭の中はiPS細胞やら、落語のことやらでいっぱい、そうしたら何と、あっと言う間に・・・眠っちゃった。

  そんな過酷な創作活動を続けた甲斐があり、とうとう出来上がったのが、「夢の細胞」という、近未来を舞台にした健康落語。未来の話だから、「病院物語・番外編」ということにして、23日の成城ホールでの独演会で高座にかけました。

  評判は、すこぶる良かったみたいです。でも、良かったのは落語が、ということより、どちらかというと、話題のiPS細胞を、すぐに落語にして高座にかけた、その企画を評価していただいた感じ。
 まあね、「面白かったあ」と、何人ものお客様に言っていただけましたが、まだまだですよ。次回の11月8日(木曜)のブディストホールでの独演会でもやるので、それまでにいっぱい手を入れなくちゃ。

 でもね、でもさ、歌舞伎だってそうだったんだけど、世間で何かショッキングな事件が起きると、それをすぐに芝居にして舞台にかけた。それに江戸の庶民は拍手喝采を送ったわけです。

 「噺家は 世情のアラで 飯を食い」って言うとおり、落語だってそんな一面は昔からあるわけですよ。
 時事ネタを枕で振るだけじゃなくて、世間で取り沙汰された医学的な話題、健康情報、そんなものをスピーディに健康落語にして高座にかけていく、そういった活動を、これからも継続してできないか、今はそんなことを考えています。

 何か医学的なことがニュースになるたびに、「ようし、作るぞお」と、闘志を燃やすことができたら、それはそれで楽しいかもしれません。
 もちろん大変なチャレンジなんですけど、願わくば、「独演会の3週間前くらいにはニュースになってちょうだい」と、切に願う、今日この頃でございます。

« 食べたい時に食べたいものが | トップページ | ずっと歯が痛いんです »

芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

らく朝さん、はじめまして!
昨日、国分寺難病の会 20周年記念講演会のらく朝さんの落語を、最前席で見ていた私たちです。 楽しいひと時をありがとうございました。
私たちは「きき亭」という落語朗読劇のグループですが、日頃、介護老人施設で、朗読落語を聞いて頂いています。
私たちも、らく朝さんと同じように「笑いによってもたらされる効果」をモットーに活動しています。昨日伺ったらく朝さんのお話は、私たちの目指す事と相通ずるものが多分にあり、たいへん参考になりました。
らく朝さんのお話にあった通り落語を聞くことによって、表情のなかったお年寄りが、みるみる生き生きしてくる様子を実感しております。
主に古典落語をやっておりますが、認知症の方が昔の楽しい思い出を落語と共に思い出されているようです。
私たちの活動について何かアドバイスを頂ければありがたいのですが、よろしくお願いいたします。
「きき亭」のHPは kikitei@jcom.home.ne.jp です。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 食べたい時に食べたいものが | トップページ | ずっと歯が痛いんです »